No.1 久留米大学医学部医学科:平成28年小論文模範解答

テーマ

 「在宅医療のあり方」

 

解答

 在宅医療とは、医療機関や訪問介護者が家族と連携し、患者が心地よく暮らせる環境で生活できるような治療を実施して、必要があれば患者の看取りまでを行う医療体制のことである。日本の医療では、病院外の治療と言えばかつては往診という形態が中心であったが、近年の高齢社会の進展に伴い、在宅医療がその中心となっている。では、どのようなものが在宅医療の理想的なあり方と言えるだろうか。

 

 一つには、患者自身が望む環境で医療を行っていくということが必要である。医療とは、第一義に疾病を有する患者本人のためのものである。したがって、患者の自宅をはじめとして、患者が最も快適と感じる環境で医療活動を講じていくことが重要だ。また、一つには、医療機関と訪問介護者が緊密に連携をとることが必要だ。訪問介護を受ける患者には、慢性的な疾病を抱える場合が多く、時には急性症状を発現する危険性もある。そのため、訪問介護を行う者が、恒常的に患者の容態を管理していくことはもちろんのこと、急性症状が発現した際には直ちに専門の医療機関に輸送する体制を事前に構築していることが必要となってくる。こうした切れ目のない医療体制が、在宅医療の前提となってくるだろう。

 

 しかし、在宅医療には看過できない問題も存在する。それは、患者の家族の負担である。自宅やそれに類する住居が患者にとっては心地よいとしても、日々の食事や排泄の世話は、家族にとっては過大な負担となり得る。この問題を解決するためには、患者の家族の悩みや不安を受容する医療や看護の専門家の助けが必要不可欠である。また、日頃から在宅医療を気軽に利用できるような、安価な医療を受けられる経済的措置が必要であることも見過ごせない。

 

 こうした、間隙のない医療体制と、患者とその家族とを支援していく体制が、今後の在宅医療の在り方として必要であると私は考える。