No.19 大阪教育大学:平成24年後期日程小論文問題G設問2模範解答

芸術を生み出すものは何か。

 

解答

 芸術を生み出すものは何か。ここで、そもそも芸術とは何かということが問題となる。芸術とは、人間の内奥に存在する感情や思想を、自分の外部に表現するものだと私は考える。絵画であれ彫刻であれ、それらは表現者の精神性から生じた形式に過ぎず、その核心は表現者の内面に存在するのではないかと考える。

 

 では、芸術を生み出すものは何か。私は、芸術とは表現者の内面に存在するものの外的な表明であると考えるが、それは、芸術を生み出すものは単にそれを表現する者である、ということを必ずしも意味しない。むしろ、芸術を生み出すものは、その表現者の生まれた時代、国、地域、家庭環境などであると言えると考える。なぜなら、人間の内面といったものは、その人間が育つ中で直接的または間接的にかかわりあった有形無形の存在の影響を多分に受けると思うからだ。たとえば、自身を含めたその国の宗教観が、多神教や一神教といったように違えば、その思想や人生観も違ってくるであろう。すなわち、人は誰しもが一人だけでは生きていけないがゆえに他者を必要とし、なかんずく自分と他者の思考や思想は、その時代背景や周囲の環境に左右されるということだ。そして、先に述べたように芸術は個人の内面の外的表明と捉えるならば、個人の内面に作用する外的な環境は必然的にその個人が表現する芸術というものに影響を与えるはずなのである。したがって、逆説的ではあるが、芸術を生み出すものは、表現者の外に存在するものなのである。

 

 このように、芸術は外的環境により生み出されると言ってよい。ここで、個人の資質や才能はどうかという議論もあるだろう。確かに、個人の資質などといったものは芸術としての質的な面には影響を与えるかもしれない。しかし、芸術が生まれる根源は何かと言えば、やはり表現者を取り巻くものなのである。なぜなら、芸術作品としての質の問題は、芸術の源泉とは別の次元に存するからである。

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