No.37 日本大学歯学部:平成28年小論文模範解答

 日本人の死因は,最近の調査結果によれば,1位がん,2位心臓病,3位肺炎,4位脳卒中であり,肺炎を除けば生活習慣病が依然として上位を占めている。生活習慣病は,健康寿命に悪影響を及ぼすだけでなく,医療費の増大を招く主要因にもなっている。我が国では,平成25年から34年にかけて「健康日本21(第2次)」が推進されており,その目指すべき姿を,「全ての国民が共に支えあい,健やかで心豊かに生活できる活力ある社会」とし,5つの基本的な施策が提示されている。その一つの「生活習慣及び社会環境の改善」に「喫煙」という項目があり,①成人の喫煙率の減少,②未成年者の喫煙をなくす,③妊娠中の喫煙をなくす,④家庭・職場・飲食店・行政機関・医療機関での受動喫煙の機会を有する者の割合の減少,という4つの具体的な目標が掲げられている。

 平成26 年国民健康栄養調査の結果では,日本人の喫煙率は男性32.2%,女性8.5%,主要 34カ国の男女別喫煙率の国際比較では,日本人男性はワースト6位,女性はベスト3位で,韓国に次いで喫煙率の男女差が大きいのが特徴である。日本大学歯学部が在る東京都千代田区では,現在すでに路上喫煙が禁止され,本学部でも付属歯科病院を含めて建物内はすべて禁煙としている。

 

問1 喫煙が人体に与える影響について記しなさい。(200字以内)

問2 喫煙者にタバコを止めるように進言したところ,喫煙者は「タバコには高い税がかけられているため,タバコを吸うことによって,私は国の財政に貢献している。」,「長年タバコを吸ってきたが,今さら私が禁煙して体に何か良い変化が起こるのか?」と回答した。この回答に対して,あなたの意見を述べなさい。(400字以内)

 

解答

問1

 タバコの煙には、多数の有害物質が含まれており、依存性の強いニコチンやタール、一酸化炭素がよく知られている。他にも、多くの発がん性物質が含まれており、肺がんなどのがんを引き起こすほか、受動喫煙のリスクも高まる。タバコを吸うか吸わないかの違いで、余命が10年変わる。タバコは、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気の原因になる。そのほかにも、糖尿病、消化性潰瘍などになりやすく、妊娠や出産などにも悪影響を及ぼす。

 

問2

 回答には、次の2点が含まれる。「喫煙者はタバコを購入することにより税金を払い、国の財政に貢献している」という主張と「長期に渡り喫煙してきた以上、今さら禁煙しても無駄である」という主張である。次に私の意見を述べる。

 まず、国の財政に貢献するという主張について述べる。タバコには有害物質が多く含まれ、様々な疾病の原因になることは明らかだ。病気になれば、病院で治療をするが、国がその医療費を負担する。したがって、仮に納税になるとしても、喫煙が原因の疾病にかかれば、国の治療費が増大する。よって、結果的に国の負担になる。そのため、この主張は誤りである。

 次に、禁煙は無駄だという主張について述べる。まず、禁煙により喫煙者本人の余命がいくらかでも伸びることはわかっているため、無駄ということはない。さらに、喫煙は受動喫煙を伴うため、禁煙をすれば、周囲の健康被害が軽減される。以上の理由により、この主張も誤りである。

(400字)