No.43 慶應義塾大学文学部(一般):平成29年小論文模範解答

設問Ⅰ

この文章を300字以上360字以内で要約しなさい。(「Living for Today」という用語は使わないこと。)

 

筆者は、「最少生計努力」と「食物の平均化」の原則の下で生活するトングウェ人の生活に衝撃を受ける。この二つの傾向性は、超自然的な世界と関係を持ち、「分け与える」に反する行為は人々の妬みやうらみの対象となりえる。筆者はこういった世界を息苦しいものだと感じるが、農民のアソビという概念から再定義を試みる。トングウェ人の農民のアソビはその日暮らしの考え方から現出する。そう考えると、嫉妬やうらみによる平準化の圧力は抑圧ではなく、自然や社会との関係として存在する時間を操る生き方の技法として解釈を展開できる。彼らは縦の時間ではなく円環時間において、自然のリズムで生きているといってよい。その中で彼らは呪術や超自然的な事象との関係を巧みに駆使して切り抜けているのだ。

(327字)

 

設問Ⅱ

 「分け与える」ことについて、あなたの考えを320字以上400字以内で述べなさい。

 

「分け与える」ことは、ある種打算的な意思を含むことが往々にしてある。すなわち、相手からの見返りを期待する「ギブアンドテイク」の考え方だ。しかし、「ギブアンドテイク」のような経済合理性は「分け与える」ことの本質ではないと考える。むしろ、近代的な合理性以前に存在した、互いを慮る相互依存性に依拠しているのではないかと考える。なぜなら、課題文でも指摘されているように、「分け与える」ことは自給自足を主とする人々の中でも存在するからである。「分け与える」という行為は、常に「自分のものを相手と共有する」ことを含む。従って、お互いを尊重しながら共有物を利用していく精神がそこには息づいている。去年と同じように収穫や祭りを迎えられることを喜ぶことと、根差すものは同じはずだ。時間によって生活が支配される以前の姿を今にとどめるもの、それが「分け与える」ことであると考える。

(379字)