No.51 慶應義塾大学経済学部2019年度小論文模範解答

 今回は慶應義塾大学経済学部の小論文の模範解答を作ってみました。課題文は「慶應義塾大学 過去問」などで検索すると、予備校が出している解答速報が出てくるので、そのページをご参照ください。

 

 どちらかというと課題文は随筆に近く、読みにくいものではありません。設問も、細かい条件が書かれているので、書きにくいものではありません。設問が与えたレールに乗れば解答できるようにはなっています。現実の人間社会における「多様性」の事例を見つけられるか、そしてそれが筆者の主張を適切に支持するものであるかが重要になってくるでしょう。

 

<課題文は著作権の都合上省略>

 

[設問]

A. 数量主義が生物多様性と相性が悪いのはなぜか。課題文で述べられている理由すべてを200字以内で説明しなさい。

 

 数量主義とは、事象の質を捨象し、その数量のみに着目して数値により価値判断をする考え方である。これに対し、生物多様性は、それに関するすべての数値が曖昧であるため相性が悪い。すなわち、生物が相互に複雑な関係を結んでできている生態系の事実の調査が困難であるということである。また、それゆえに、調査結果をもとにして数式を用いたシミュレーションを行って予測値を算出し、先を予測することが難しいということである。

(200字)

 

B. 本文中に「多様とは豊かなことなのです」という筆者の主張があるが、現実の人間社会においてこの主張を支持するとあなたが思う事例をひとつ挙げなさい。その事例はどのように筆者の主張を支持しているのかという点、および、その事例中の多様性を支える仕組みとして何が必要とされるかという点を含めて、課題文のみにとらわれず、400字以内で述べなさい。

 

 同じものの量が多いことではなく、質の違ったものがいろいろあること、すなわち多様性が保たれていることが豊かさなのだと筆者は主張する。私は、現実の人間社会でこの主張を支持する事例として、「言論」を挙げる。言論とは、個人や集団の、それぞれの内部の思考、および外部に表明する意見のことだと考える。ある意見に賛同する人数が多いという理由だけでは、その意見が重要だということにはならない。あくまでもその意見の質が重要だ。つまり、言論は数量という物差しでは測れないものであるという点で、この事例は筆者の意見を支持する。言論における多様性を支えるためには、社会的な仕組みとして、それぞれが考えや意見をもち、外部に発表する自由が保障されていなければならない。加えて、他者の考えに触れることで自分の考えが変わるというように、言論は相互に関係しているものだ。ゆえに、他者の考えを知る権利が保障されていることも必要不可欠だ。

(400字)