No.53 国際医療福祉大学医学部2018年度小論文模範解答例

今回は「少子化の問題点とその対策」について述べる問題の解答例を作成しました。

今回の問題は、テーマとしては一般的なものですが、600字という字数がタイトで、まとめるのが難しいところです。少子化を経済的影響と社会的影響の二面から論じるとよいでしょう。対策案は、必ずしも目新しいものを書く必要はありません。現状を分析し、実際の政策としてあり得るものを論理的に述べれば合格点となるはずです。ただし、少子化の責任や解決を個人に押しつけるようなことは書くべきではありません。子どもを望むことを含め、どのような生き方をするかは個人の自由だからです。社会システムを改革する視点で対策案を述べるべきでしょう。

問: 2016年における日本の出生数は、1899年に統計をとり始めて以来はじめて100万人を下回る水準となり、少子化が進んでいることが報じられました。少子化の原因には、親となる世代の人口が減少していることに加え、晩婚化と夫婦二人の間の平均出生児数の低下などが指摘されています。その背景には様々な社会的要因があるともいわれており、子ども・子育て支援は、重要な政策課題ともなっています。少子化についての問題点を整理したうえで、あなたの考える対策案を600字以内で述べなさい。

解答例: 少子化についての問題点は大きく二つに分けられる。一つは、経済的影響だ。出生児数の減少は、生産年齢人口の減少を意味する。これは労働力供給の減少をもたらす。社会全体の生産性が抑制され、国家的に経済が停滞することになる。もう一つは、社会的影響だ。社会の基礎的な単位である家族の形態が変容し、これまで存在していた地域コミュニティが形骸化する。子どもの数が減り、その交流も希薄化し、健やかな成長が損なわれる。人口減少により地域の過疎化が進み、公的サービスの提供も困難になる。
 少子化の対策案として、多様で複線的な働き方を推進する方策を私は考える。具体的には、企業の雇用における新卒一括採用の慣行を廃止し、年齢・学歴による就職の区別をなくすことだ。日本では、高校や大学を卒業すると同時に企業に就職することが一般的である。これは卒業直後に働くことができない人々が排除されることも意味する。また、企業を退職した際に、年齢や学歴の制限により大幅に生き方の選択肢が狭まることも事実である。これでは個人の生産性が上がらず、企業も人員を確保できず業績が低迷し、ひいては国家的規模での損失につながる。子どもを望むか否かは個人の問題であるから、それに介入することはできない。したがって、意欲のある人々がその能力に応じて勤労の機会を獲得できる社会を構築し、これまで十分に発揮できなかった潜在力を活かして富を創造することが必要である。
(600字)