No.56 福岡歯科大学2018年度AO入試1期小論文模範解答例

 今回は福岡歯科大学の問題を解きました。ロボットやAIとの<共存>がテーマとなっている問題です。ロボットやAIの知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」などの話題はよく語られます。ただ、「共存」について正面から書くのはやや骨が折れるかもしれません。問題文はこちらからご覧ください(福岡歯科大学のホームページにリンクしています)。https://www.fdcnet.ac.jp/col/examinee/point

 

<解答>

 今日、目覚ましい技術革新によって、ロボットやAIの性能は従来と比べて格段に向上してきている。これらの性能はいずれ人間の知能を超えるとも言われている。こういった新しい他者との共存について、私たちはどのように考えるべきか。そもそも、共存とは、二者が互いの存在を許容し、空間を共にすることであると考える。人間の知能をロボットやAIが超えることを脅威と捉える意見もある。しかし、私たちがそれらとの共存を図るならば、脅威としてではなくむしろパートナーとして考えるべきであろう。確かに、ロボットやAIがもつ、大量のデータを記憶し演算する能力は人間では太刀打ちできないのは事実だ。だが、その能力はあくまで過去の蓄積に基づいた統計的・画一的な知能に過ぎない。これは過去の事象の組み合わせの処理である。その一方、私たち人間は、多様な情報を組み合わせてこれまでになかったものを創造する能力を有している。この営みは人間のもつ知性のなせる業である。これはロボットやAIには少なくとも現時点ではできないことだ。したがって、仮にロボットやAIが人間の知能を超えたとしても、人間が有する知的な営みとは一線を画すものなのである。その点でロボットやAIは人間を超えることはできない。したがって、ロボットやAIと人間とは活動のすみわけができるのである。それのもつ知能を有効に利用しながら、私たち人間は自らの知性を十二分に発揮できる環境をつくることができるはずだ。たとえば、医療現場でも、過去の症例の検索や最適な薬剤の組み合わせの提案はロボットやAIにできると思われるが、患者一人一人に寄り添ったコミュニケーションは人間にしかできない。ロボットやAIと人間との活動領域の区分けは他の分野においても言えるだろう。このように、社会におけるそれぞれの特性を活かした分業を行うことにより、ロボットやAIと人間とは摩擦を起こすことなく共存することが可能になるのである。

 

(800字)