No.72 日本医科大学小論文2018年度(2月1日実施分) 解説と模範解答例

今回は日本医科大学からの出題です。今回のお題は次の通りです。

今回は絵画を見て思うところを述べる問題です。
これから《留意点》を書いていきますが、まずは、自分で「どのような解答を書くかな」と考えてみてからご覧いただくと、理解がより深まると思います。ではまず《留意点》です。

《留意点》
①絵画に何が描かれているかを正確に把握する
②①で把握した内容について、関連した内容を書き出して考える
③医学部という学部の特性を捉える

①絵画に何が描かれているかを正確に把握する

小論文の肝は、課題文もしくは資料の精密な解析と正確な読解です。今回もそれに即して考えていくべきです。今回の絵画に描かれているのは、「まっすぐ」な「道」ですね。また、「なだらかに」続いています。奥の方で曲がっているようですが、概ね直線だと考えてよいでしょう。また、特に「障害物がない」光景が広がっています。
このように、この絵画では、なだらかでまっすぐな道が、障害物もなく続いているということがわかります。
これを踏まえて、何を書くべきかを考えていきます。

②①で把握した内容について、関連した内容を書き出して考える

①では、なだらかでまっすぐな道が、障害物もなく続いていることがわかりました。ここから、どのようなことが言えるでしょうか。
私が考えたのは、本当にこのような道が存在するのか、ということです。現実社会の道を考えてみると、野原にここまでまっすぐな道が続いていることはほとんどありません。大抵は木や川があったり、建物があったり、人や動物がいたりするはずです。しかし、この「道」にはそういったものが何も描いてありません。ここで考えたのが、この「道」は、私たちが考える「道」の理想形なのではないか、ということです。何ら障害物もなく置くに向かって真っすぐに続いている道、これは「道」としては最も想像しやすいものではないでしょうか。「道」を描く際も、このような道を思い描くことがおおいのではないでしょうか。
そして、ここまで考えてから発想したのが、現実社会はここまで「理想的」だろうか、ということです。「道」に限らず、私たちが進む人生も、紆余曲折があります。突発的な事件も起こります。この絵に描かれているような「理想形」を描くことはまずないでしょう。
今回の答案では、そこから出発して書いてみました。

③医学部という学部の特性を捉える

今回の出題は医学部からのものです。したがって、医師を志す者に求められる良識や倫理観を示すべきでしょう。②で考察したように、この絵画からは理想と現実のギャップを読み取ることができます。これは医師の世界でも同じでしょう。医師としての自分が思い描く理想と、現実とが異なることはいくらでもあるはずです。怪我や病気を治療する中で、教科書通りにいかないことは日常茶飯事でしょう。また、突発的な事態が発生することも十分に考えられます。それでも、人の命を預かる医師としては、自らの信じる「理想」に近づくように努力すべきではないでしょうか。現実に打ちひしがれることなく、強靭な精神でいかなる事態も乗り越えていく前向きな姿勢が求められるはずです。今回の答案ではその医師としての適性を考えて書いてみました。

それでは、どうぞ。

'18日本医科大学

解答例

 本問の絵画には、「道」という言葉から私たちが連想する「理想の道」が描かれていると考える。そして、実社会では必ずしも私たちの思うようなまっすぐな道を歩むことはできるわけではないが、私たちは自らの考える理想に向かって努力を続けることが必要なのだと考える。
 本問の絵画は「道」と題され、緑の野原を突っ切るように直線の道が走っている。その道程はなだらかで、ずっと奥までつながっているように思える。この「道」は、私たちが思う「道」のある種の典型だといえるだろう。私たちが自分たちの生活や社会において思い描く、目標への道筋も、この「道」のようなものではないか。すなわち、私たちは将来の目標に向かうルートを考える際に、特に何も障害のない安全なものを想像しがちだということだ。しかし、現実はそうではない。物事を進めようとしても、何らかの突発的な出来事が発生して停滞することもある。また、目標への最短距離をとろうとしても、やむを得ぬ事情で進路を変更することもある。これが現実であるが、それでも、私たちは自らの道を、思い描いていた「理想の道」に近づけようとするべきだと考える。いかなる事態が発生しても、それに臨機応変に対処し、目標を達成するために努力を怠らないことが必要だ。自らの人生を自分で切り開くにあたり、高い理想を見据え進んでいく。その過程に困難が伴っても、「理想」があれば自らにとって正しい道を進めるのだと考える。
(600字)