No.67 大妻女子大学人間関係学部人間関係学科社会学専攻2017年度公募推薦入試小論文解説と模範解答例

今回の出題は大妻女子大学人間関係学部人間関係学科社会学専攻です。論題は次の通りです。

位置情報ゲーム「ポケモンGO」をめぐる社会現象について、自分の考えを述べなさい。(解答字数600字以内)

まさかの時事問題ですね。「ポケモンGO」は、現実における位置情報を基にしてプレイする、スマートフォンを介したゲームのことです。特定のスポットにはレアなポケモンがいるためにプレイヤーが殺到するなど、一種の社会現象となりました。この問題はそもそも「ポケモンGO」を知らなければ話にならないのですが、それは知っている前提で解答解説を進めていきたいと思います。

今回の《留意点》は次の通りです。

①「ポケモンGO」をめぐる「社会現象」についての考察が求められていること
②「ポケモンGO」をめぐる社会現象の本質を考えること
③①及び②の裏返しとして、「ポケモンGO」自体に対する評価は求められていないこと

①「ポケモンGO」をめぐる「社会現象」についての考察が求められていること

 解答者が求められているのは、「ポケモンGO」をめぐる「社会現象」についてです。しかも、出題が人間関係学部によるものです。したがって、この問題は、「社会現象」を「人間関係」という観点から眼差す必要があると考えます。あくまでの「入試」の小論文ですから、「いかに自分がその大学及び学部に入学する者としてふさわしいか」をアピールするものである必要があります。したがって、出題者の意図を汲み取り、社会現象を「人間関係」という側面から捉えることが必要でしょう。

②「ポケモンGO」をめぐる社会現象の本質を考えること

 本問では、「仮想現実」と「現実世界」との相克・融合といった語り口でも答えることが可能です。たとえば、仮想現実が現実世界を「浸食」していると考えることもできます。また、現実世界の人々が、現実世界にいながら「ポケモンGO」という仮想現実に浸るという「融合」の面から語ることもできるでしょう。それらも間違いではありません。しかし、私は違う面、すなわち人間関係という面から考えました。「ポケモンGO」という「ゲーム」が、自分と他者とをつなぐ媒介になっているという視点です。これは学部特性を考えたもので、ある意味出題者との対話と言えると思います。

③①及び②の裏返しとして、「ポケモンGO」自体に対する評価は求められていないこと

 これに関しては当たり前のことだとは思いますが、「ポケモンGO」についての考察や、その是非については解答は求められていません。答えるべきは、あくまでも「ポケモンGO」をめぐる「社会現象」についてです。そして、その「社会現象」の本質が何なのかということを抽象化して述べる必要があるでしょう。すなわち、「ポケモンGO」は小論文の起点ではありますが、中心ではありえないということです。

《留意点》を踏まえ、解答例を作成しました。それでは、どうぞ。

位置情報ゲーム「ポケモンGO」をめぐる社会現象について、自分の考えを述べなさい。(解答字数600字以内)

解答例
 本問における社会現象は、「ポケモンGO」が多くのユーザーを獲得し、これまでの「ゲーム」の枠を超えたことに由来すると考える。

 従来の「ゲーム」は、他人の作ったシナリオに従い、その枠内で行動するものだった。近年盛んになっている「オンラインゲーム」も、他人と協働して遊ぶ面はあるものの、それは「ゲーム」という世界に限られたものだった。一方、「ポケモンGO」は、現実に存在する場所を舞台として設定し、現実世界におけるユーザーの行動を促した。

 これが示唆するのは、私たちが、自分たち以外の人々との結合を求めているということだと考える。なぜなら、「ポケモンGO」の舞台は現実世界であり、その現実世界を基軸として、私たちは同じ「ユーザー」という立場で他者とつながることができるからである。従来のものとは違った、「ゲーム」を媒介とした他者との緩やかな結合が、現実を共有する「ポケモンGO」により可能となった。

 そしてこれは、現代人が他者とのつながりを渇望していることを意味する。すなわち、画面の中で完結する「ゲーム」ではなく、現実という「リアル」における生身の人々との接触を、私たちは求めているのだ。つまり、私たちは「ポケモンGO」を通じて、密接ではないにしろ「他者とつながっている」という感覚を得ることができる。これは、現代社会に生きる人々が、どこかに空白を感じており、それを充足させたいという思いが具現化したものであると考える。
(600字)